小鷹研究室の仕事

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I am a volleyball tossed by my hands(2016)

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◯ 「HMD空間の中で自分の身体そのものをつかまえることができない」ことに物足りなさを感じてしまうのは(ほとんどのひとはそんなことはどうでもよいと考えているようなのだが)、逆から言えば、その部分にさえ目をつむれば、大方のリアリティーが再構成できてしまっているHMD技術の革新性に(結局は)由来しているのかもしれない。確かに、HMD空間の中にあって、僕たちは生々しい身体を失うことで、大きな自由を手に入れた。しかし、この自由は、(旧来からの)テレビゲームでマリオをプレイしているときに語られる水準の身体投射(sense of agency)の延長に位置するものであり、HMDという高度な玩具を手に入れながら、依然として、同じ水準で身体を運用していこうというのであれば、それはHMDの潜在的な革新性をあまりに見くびっていることになる。
◯ 「I am a volleyball tossed by my hands」では、一人称視点「(アバターが)バレーボールをトスする」から三人称視点「(バレーボールが)アバターにトスされる」への切替に伴う残渣として、(事後的にであれ)アバターに対して「自分のいるべき特異的な場所」としての定位感が投影されるのではないかと考えた。このインタラクションを設計しているときに、三人称視点の視線の先は、常に「自分のあるべき場所」に収束されないといけない、という強い確信を得た。これは幽体離脱の体験者の多くが、特に強く意図しているわけでもなく、(気づけば)自分の身体に対して視線が投げかけられていることに対応している。つまり、自らの”生々しい身体”と遭遇するためには、二人称的な対面の流儀が要求されるであろう、ということ。
◯ CGに確かな技術を持っていた信田勇貴(ゲーム会社へ就職した)の手堅い卒業研究であるとともに、小鷹研によるHMDを使った最初のプロジェクトでもある。

CATEGORIES

HMD, 幽体離脱

PROJECT MEMBER

信田勇貴 小鷹研理

YEAR

2016

PAPER

  1. 小鷹研理・信田勇貴:「I am a volleyball tossed by my hands: 二人称視点を採用した幽体離脱の誘発」, 第20回情報処理学会シンポジウム・インタラクション2016, 科学技術館, 2016.3 [PDF]

EXHIBITION

  1. 研究室展示『からだは戦場だよ2016 バードウォッチャー・ウォッチング』, やながせ倉庫・ビッカフェ, 2016.1.29-30 [EXHIBITION]

RELATED LINK

  1. 2016.02 「展示風景|バードウォッチャー・ウォッチング(からだは戦場だよ 2016)」研究室ブログ