小鷹研究室の仕事

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Stretchar(m) (2017)

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「ポールを引っ張り合う」という相互的なインタラクションに伴って変化する筋肉の負荷を、HMD仮想空間の中で「一人称視点」で表示される腕の長さと連動させることで、自分の腕が伸びたり縮んだりするような感覚を得ることのできる体験装置。「腕が引っ張られている強さ」を、生理学的なアプローチで直接に計測するのではなく、体重計から読み取られる自重の変化から<間接的に>推測している点がポイント。体験者は、HMD以外は何も装着していない。「筋肉の負荷を計測されている」という意識は、当事者において全く発生しない。
(映像を見ていただければわかるが)実際のインタラクションに即して言うと「ポールを引っ張り合う」という表現は、少し不正確なところがある。体験者の側は、ポールを持ち、かかとを支点に、重心を後ろにぐ〜っと傾けていくことで、同じく対面でポールを保持している相手に(下から)体重を支えてもらうかたちをとる。「相手がポールを確実に支え続けてくれること」を信頼し、自らは、ただただ重力に身体を浸していく。「引っ張る – 引っ張られる」というよりも、<引っ張り>という名の運動の中に身体を丸ごと投げ出す。そのような能動とも受動ともつかない運動の局面において、「腕が伸びる」という非現実的な身体感覚は、しかし「からだの風景」の中によくなじんでくる。
(映像を見ていただければわかるが)実際のインタラクションに即して言うと「ポールを引っ張り合う」という表現は、少し不正確なところがある。体験者の側は、ポールを持ち、かかとを支点に、重心を後ろにぐ〜っと傾けていくことで、同じく対面でポールを保持している相手に(下から)体重を支えてもらうかたちをとる。「相手がポールを確実に支え続けてくれること」を信頼し、自らは、ただただ重力に身体を浸していく。「引っ張る – 引っ張られる」というよりも、<引っ張り>という名の運動の中に身体を丸ごと投げ出す。そのような能動とも受動ともつかない運動の局面において、「腕が伸びる」という非現実的な身体感覚は、しかし「からだの風景」の中によくなじんでくる。
「Stretchar(m)」は、森光洋の修論の一部として収録されたものであり、2017年の1月の研究室展示「からだは戦場だよ 2017」において、はじめて披露された。その後、基本的な構造を一切変えることなく、9月の学会・EC2017に出展し(筆頭著者は石原由貴)、UNITY賞を受賞した。この際、「Stretchar(m)」を体験された参加者の方にアンケートの記入をお願いしたところ(-3から+3までの7段階評価), 「腕の伸びた感覚」に関しては37人中35人が、「腕の弾力性の感覚」に関しては37人中33人がポジティブな評価(+1 or more)を回答した。
REACTIONS IN SIGGRAPH ASIA 2017
ABSTRACT
Stretchar(m) gives a unique experience of having elastic arms that can be gradually extended or retracted where the virtual arms are visually stretched from the first person perspective in the head-mounted display (HMD) space. This is done through a physical action of pulling a pole and leaning slightly backward when standing and being assisted by a playmate who pulls the pole in the opposite direction. Specifically, the (virtual arms’) stretch ratio is internally associated with a gain in the weight of the HMD wearer, measured with the Wii Balance Board placed under the foot of the wearer. In such a stress-free sensor environment, the more deeply the wearer leans backward (that enhances the arm-muscle load), the more weight is applied to the ground, resulting in an increase in the wearer’s weight and the stretch ratio. Thus, the sense of arms being pulled is transformed into a sense of having stretched arms. Because such a vision–proprioception correlation is designed on the basis of the well-known principle of rubber-hand illusion, Stretchar(m) can yield a strong sense of body ownership toward the elastic arm.

CATEGORIES

HMD

PROJECT MEMBER

森光洋 石原由貴 小鷹研理

YEAR

2017

AWARD

UNITY賞(情報処理学会シンポジウム・エンタテインメントコンピューティング2017)

PAPER

  1. 小鷹研理:「筋運動誘導型Elastic Limb(s) Illusionに関する研究の展望」, 日本人工知能学会第33回大会, 新潟コンベンションセンター, 2019.6 (Organized Session:「プロジェクション科学」の発展と応用)[PDF]
  2. Kenri Kodaka, Koyo Mori: “Stretchar(m) Makes Your Arms Elastic” ACM Siggraph Asia 2017, VR Showcase, Bangkok, 2017.11 [DOI]
  3. 石原由貴・森光洋・室田ゆう・小鷹研理:「HMDを介したポールを引っ張り合うことによる腕が伸縮する感覚の誘発」, 情報処理学会シンポジウム・エンタテインメントコンピューティング2017, 東北大学, 2017.9.16(プレミアム枠)[PDF]

EXHIBITION

  1. 研究室展示『からだは戦場だよ2017 とりかえしのつかないあそび』, やながせ倉庫・ビッカフェ, 2017.1.29-30 [LINK]

RELATED LINKS

  1. 2017.11 「「腕が伸びる感覚」を体感できる Virtual Reality システムを発表」[プレスリリース]
  2. 2017.11 「腕が伸びる感覚、VRで体験 名古屋市大がシステム開発」[日刊工業新聞]
  3. 2017.11 「名古屋市立大学、「腕が伸びる感覚」をVR体感できるシステムを論文にて発表。対面者と⼀対⼀でポールを引っ張り合う過程で表現」[Seamless]
  4. 2017.11 「バーチャルリアリティーで「腕が伸びる感覚」を体験できるシステムを構築」[バイオの杜]
  5. 2017.09 「EC2017(2017.9.16-18)への参加(UNITY賞もらいました)」 [研究室ブログ]
  6. 2017.04 「展示の記録と周辺」(「からだは戦場だよ2017」の記録) [研究室ブログ]