『からだの錯覚』を中心テーマとして標榜している、日本で(おそらくは)唯一の研究室。研究テーマは、幽体離脱(重力反転)、身体の伸縮感覚、セルフタッチ、影・鏡・イラストによる所有感の変調など多岐にわたる。昨今、目まぐるしく刷新を繰り返すバーチャル・リアリティー(VR)技術を積極的に導入し、「具体的に体験可能なインタラクション装置」のなかで設計された一見すると異質な「からだ」のリアリティーを、様々な尺度で検証する。主宰者である小鷹研理は、2019年に認知科学会より第7回野島久雄賞を受賞。
近年の主なVR関連の発表に、手足が伸びる体験装置「Stretchar(m) 」(UNITY Award in EC2017, Siggraph Asia 2017) /「Elastic Arm Illusion」(Finalist in VR Creative Award 2018)/ 「Elastic Legs Illusion」(CHI 2020)、幽体離脱体験装置「Recursive Function Space」(Siggraph Asia 2017) / 「Self-umbrelling」(Siggraph Asia 2018)など。
2019年、鏡とディスプレイを組み合わせたインスタレーション「ボディジェクト指向」が、第22回メディア芸術祭・アート部門の審査委員会推薦作品に選出され、同年アルスエレクトロニカのキャンバス展に出品。また、「ボディジェクト指向」より派生した錯覚「Bodiject Fingers」が、Best Illusion Contest of the Year 2019のTop 10に選出され、国内外で多くのメディアに取り上げられる。
2015年より、毎冬に研究室展示『からだは戦場だよ』をやながせ倉庫・ビッカフェで開催。5回目を迎えた「からだは戦場だよ2018Δ ボディジェクト思考法」では、過去5年の総決算として、ゲストとして古谷利裕氏・金井学氏・前林明次氏をお呼びするなど、三日間にわたり、展示に加えトークセッション・レクチャーを開催し盛況を得た。そのほか、2016年、岐阜駅でワークショップ『おとなのからだを不安にさせる13のワーク』、2017年には名古屋市科学館『さわってビックリ!見てフシギ? 人間の皮膚』、2019年には『大名古屋電脳博覧会2019』(市民矢田ギャラリー)に参加。