小鷹研究室の仕事

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公認候補(2018)

VIMEO
CAPTION
メディアアートの批評性に関わる問題の一つとして、現実と人工物を上手く配合することによって、ときに現実の側の虚構性が見事に炙り出されてしまう、その局面に対して強い関心を持っている。そのようにしてフラット化した複合世界において、そこに住まう種々多様な住人たちは、そのときどきの正統性の覇権を巡る争いに意図せずして巻き込まれることになるだろう。
こうした正当性を付与する<公認>の選定基準において、「オリジナルであること」が、もはや大きな意味を為さないであろうことは想像に難くないし、そうした事態からの帰結として、拮抗する複数の住人たちのそれぞれによって主張された、複数の両立しない正当性が、しかし矛盾なく成立してしまってような「<公認>の乱立」のような状態が常態化することもまた可能であろう。
と、そのような観点を踏まえるとき、本作のような装置がつくりだす風景の渦中に身を晒すことを通して、自らの内に宿る新たな正統性の構成原理(それは、おそらく神経科学的な起源を持つに違いない)について省察してみることには、少なからず批評的な意義があると考える。

CATEGORIES

ART

PROJECT MEMBER

小鷹研理

YEAR

2018

EXHIBITION

  1. 『拡張する知覚-人間表現とメディアアート展』, 愛知県立芸術大学芸術資料室, 2018.9.15-30 [WEB]

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